帰化許可申請
(日本国籍の取得)
日本国籍を取得する手続きです。窓口は入管ではなく法務局で、在留資格の申請とはまったく別の制度です。必要書類が非常に多く、準備から許可まで1年前後かかるのが一般的です。だからこそ、最初の見通しを立てることが重要になります。
1. 永住と帰化、どちらを選ぶか
「日本にずっと住みたい」という目的は同じでも、この2つはまったく違う制度です。まずここを整理してから、どちらに進むか決めてください。
| 永住許可 | 帰化許可 | |
|---|---|---|
| 何が変わるか | 在留資格が「永住者」になる 国籍は母国のまま |
日本国籍を取得する 母国の国籍は原則失う |
| 窓口 | 出入国在留管理局(入管) | 法務局(住所地を管轄する法務局) |
| パスポート | 母国のパスポートのまま | 日本のパスポートを取得できる |
| 選挙権・被選挙権 | なし | あり |
| 在留カード | 必要(7年ごとに更新) | 不要(在留管理の対象外になる) |
| 退去強制 | 重大な犯罪等では対象になりうる | 対象外 |
| 氏名 | 変わらない | 日本の戸籍に記載する氏名を決める |
| 日本語能力 | 要件として明示されていない | 小学校3年生程度の読み書きが必要 |
| 期間の目安 | 申請から4〜10か月 | 準備から許可まで10か月〜1年半 |
| 当事務所の報酬 | 165,000円(税込) | 220,000円(税込) |
迷ったときの考え方
母国の国籍を手放したくない/将来的に母国に戻る可能性がある/母国に不動産や相続の予定がある → 永住を選ぶ方が多いです。
日本のパスポートが必要(出張や渡航が多い)/子どもの将来を考えて家族で日本国籍にしたい/在留カードの更新から解放されたい → 帰化を選ぶ方が多いです。
どちらが正解ということはありません。相談の中で、ご家族の状況と将来の予定を伺ったうえで一緒に決めましょう。
2. 帰化の6つの要件(普通帰化)
国籍法第5条が定める要件です。日本人の配偶者の方には、後述する緩和があります。
- 住所条件 引き続き5年以上、日本に住所を有していること。うち3年以上は就労資格または居住資格での在留が必要です。留学期間は原則としてカウントに含まれません。
- 能力条件 18歳以上であり、本国の法律でも成人に達していること。
- 素行条件 素行が善良であること。税金・年金・健康保険の納付状況、交通違反歴、前科の有無が確認されます。実務上、ここで止まる方が最も多い項目です。
- 生計条件 自分または生計を同じくする配偶者・親族の資産・技能によって生活していけること。世帯単位で判断されるため、本人が専業主婦(主夫)でも問題ありません。
- 重国籍防止条件 帰化により母国の国籍を失うこと、または離脱できること。国によって手続きが異なります。
- 憲法遵守条件 日本国憲法やその下に成立した政府を暴力で破壊することを企てる団体に加入していないこと。
日本人の配偶者は、住所条件が緩和されます
国籍法第7条により、日本人と結婚している方は次のいずれかで申請できます。
① 引き続き3年以上日本に住所があり、現在も日本に住んでいる
② 婚姻から3年が経過し、引き続き1年以上日本に住所がある
また、能力条件(18歳以上)も適用されません。配偶者ビザから永住を飛ばして帰化に進む方も多くいらっしゃいます。
実務上いちばん多いつまずき:税金と年金
素行条件では、住民税・所得税の納付と国民年金(または厚生年金)の加入・納付が確認されます。特に多いのが次の2つです。
・扶養に入れていた配偶者の国民年金が未納だった
・過去に勤めていた会社で住民税の特別徴収が漏れていた
未納が見つかった場合、過去分を納付してから一定期間を空けて申請するのが実務の定石です。ここは相談の初期段階で必ず確認します。申請してから発覚すると、それまでの準備が無駄になってしまうためです。
3. 手続きの流れ
帰化は「申請すれば受理される」手続きではありません。法務局が書類を全部そろえたと認めるまで、そもそも申請させてもらえないのが特徴です。
当事務所での無料相談・要件チェック
在留歴、納税・年金の状況、家族構成を確認し、いま申請できるか、何年待つ必要があるかをお伝えします。この段階で見通しが立たない場合は、その旨を正直にお伝えします。
法務局への事前相談(同行します)
管轄の法務局で担当官と面談し、必要書類のリストを受け取ります。日本語での面談になるため、当事務所が同行します。ここで指示される書類は個々の事情で変わります。
書類の収集と作成
ここが最も時間のかかる工程です。日本の役所の書類は当事務所で取得できますが、本国から取り寄せる出生証明書・婚姻証明書は国によって2〜3か月かかります。並行して動きます。
書類の点検 → 申請受理
法務局が全書類を点検し、不足がなくなった時点で受理されます。1回で受理されることは稀で、追加を求められるのが通常です。受理日が正式な申請日になります。
面接
法務局で担当官との面接があります。申請書の内容の確認と、日本語の読み書きの確認が行われます。通訳はつけられません。当事務所では想定問答を使った練習をしています。
許可 → 官報に告示 → 戸籍の作成
許可されると官報に掲載され、その日から日本国民となります。その後、市区町村での戸籍の届出、在留カードの返納、パスポートの取得と進みます。この手続きもご案内します。
4. 必要書類の全体像
帰化は提出書類が数十点に及びます。全部を一度に集めようとすると必ず途中で止まるため、当事務所では「取得に時間がかかるもの」から着手します。
本国から取り寄せるもの(最優先・2〜3か月)
- 出生証明書+日本語訳最優先
- 婚姻証明書+日本語訳最優先
- 両親の婚姻証明書+日本語訳最優先
- 国籍証明書+日本語訳最優先
- 親族関係証明書(韓国籍の方など)
- 離婚証明書(該当する方)
※ 本国に取りに行ける方がいない場合、在日大使館・領事館で取得できることがあります。国ごとの手順をご案内します。
日本の役所で取得するもの(当事務所で代行可)
- 住民票(世帯全員)
- 配偶者の戸籍謄本
- 課税証明書・納税証明書
- 源泉徴収票
- 年金の納付証明
- 運転記録証明書(過去5年)
- 登記事項証明書(不動産をお持ちの方)
- 閉鎖外国人登録原票(該当する方)
当事務所が作成するもの
- 帰化許可申請書
- 親族の概要(家系図)
- 履歴書(その1・その2)
- 帰化の動機書要注意
- 生計の概要
- 事業の概要(自営業の方)
- 居宅・勤務先付近の略図
※ 動機書だけは、申請者ご本人が自筆で書く必要があります(法務局の指示による)。当事務所では内容の整理と日本語の添削までを行い、清書はご本人にお願いしています。ここは代筆できません。
日本語の読み書きが不安な方へ
帰化には小学校3年生程度の日本語の読み書きが必要とされ、面接で確認されます。不安な方には、面接前に法務局で使われる形式に近い練習問題をお渡ししています。
会話が流暢でも、漢字の書き取りでつまずく方が少なくありません。逆に、会話が苦手でも読み書きができれば問題ないケースが多いです。まずは現状を確認させてください。